酸素透過率が高いコンタクトを探している人に、まずこれだけは言わせてください。

もしあなたが「酸素透過率が高い=目が乾きにくい」と思ってこのページに来たなら、それ、大きな勘違いですよ。

何を隠そう、私自身も昔は「酸素をたくさん通すなら、目に優しくて快適なんでしょ?」って、完全にそう思い込んでました。「酸素」っていうクリーンな言葉の響きと、「透過率が高い」っていうスペックの良さそうな感じに、見事にやられてたわけです。

でも、その考え方でレンズを選ぶと、マジで金をドブに捨てることになります。

この記事では、まずその勘違いを正した上で、本当にあなたの目に合うコンタクトの選び方を叩き込んでいきます。ただのランキング記事じゃないんで、そこんとこヨロシク。

酸素透過率が高いコンタクトとはDk/t値が大きいレンズのこと

まず言葉の整理からいきましょう。「酸素透過率」っていうフワッとした言葉は、コンタクト業界ではDk/t値っていう具体的な数値で表されます。

Dkっていうのが「素材がどれだけ酸素を通すか」で、それをレンズの厚み(t)で割ったのがDk/t値です。

まあ要するに、この数字がデカければデカいほど、酸素を通す性能が高いレンズってだけの話ですね。

そもそも酸素透過率が高いメリットは目の健康を損なわないこと

じゃあ、なんでその`Dk/t値`とやらが高い方がいいのか。快適だから?目が疲れないから?

違います。

あなたの黒目(角膜)が死なないためです。

黒目って血管が通ってないんで、空気中から直接、涙を介して酸素を取り込んでるんですよ。そこに酸素を通しにくいコンタクトでフタをしたらどうなるか。当然、角膜は酸欠になります。

この酸欠状態が、マジでヤバいんです。

  • 角膜が腫れる(角膜浮腫)
  • 白目から黒目に余計な血管が侵入してくる(角膜新生血管)
  • 角膜の細胞が死んで、二度と再生されなくなる(角膜内皮細胞の減少)

こういうのを引き起こすんです。これ、全部将来の視力低下とか、最悪の場合失明に繋がる可能性がある、マジで笑えない話です。

だから、酸素透過率が高いレンズを選ぶメリットは、短期的な快適性じゃない。10年後、20年後の自分の目の健康を守るための、長期的な投資なんです。

【最重要】酸素透過率が高い ≠ 目が乾きにくいという事実

で、この記事で一番言いたいのがここ。

酸素透過率の高さと、目の乾きにくさは、直接イコールじゃありません。

「酸素」っていうクリーンな言葉のイメージで、なんか潤いそうな気がしちゃいますけど、それは完全な間違い。目の乾きに直接関係するのは、酸素よりも「含水率」と「レンズの素材」です。

特に、昔ながらの高含水レンズなんて、むしろ逆効果になることすらある。レンズ自体の水分が蒸発した分を、あなたの涙を奪って補おうとする「スポンジ効果」が起きるからです。

だから、ドライアイで悩んでる人が酸素透過率のランキングを追いかけるのは、正直、的外れ。それより、コンタクト用の目薬を使うとか、そもそも目を休めるとか、そっちを考えた方がよっぽどマシです。

1日使い捨て 酸素透過率が高いコンタクトランキング

「長期的な目の健康のため」という本当のメリットを理解した上で、それでもスペックを追い求めたい。そういう人のために、現時点で公表されてる`Dk/t値`を元にしたランキングを紹介します。

まずは1日使い捨てタイプから。

製品名 メーカー Dk/t値 含水率
キエトワンデーリッチ シンシア 166 47%
デイリーズ トータル ワン アルコン 156 33% (コア部)
アクアロックス ワンデー UV シン / INFUSE ボシュロム 134 55%
ワンデー アキュビュー オアシス MAX ジョンソン&ジョンソン 121 38%
ワンデー アキュビュー オアシス ジョンソン&ジョンソン 121 38%

2週間交換 酸素透過率が高いコンタクトランキング

続いて、コスパのいい2週間交換タイプ。こっちもハイスペックなレンズが揃ってます。

製品名 メーカー Dk/t値 含水率
ボシュロム ウルトラ / アクアロックス ボシュロム 163 46%
2WEEKメニコン プレミオ メニコン 161 40%
バイオフィニティ クーパービジョン 160 48%
アキュビュー オアシス ジョンソン&ジョンソン 147 38%
エア オプティクス プラス ハイドラグライド アルコン 138 33%

【もう一つの注意点】Dk/t値が高いレンズは硬いことが多い

さて、ランキングを見て「よし、一番上のやつを買おう」と思ったあなた。ちょっと待ってください。そこにもう一つの罠があります。

スペック最強のレンズが、必ずしもあなたの目に合うとは限らないんです。

なぜなら、`Dk/t値`が高いレンズは素材が硬いことが多いから。

特に最近のハイスペックレンズに使われてる「シリコーンハイドロゲル(SiHy)」っていう素材は、酸素をめちゃくちゃ通す代わりに、硬くなる傾向があるんです。

で、レンズが硬いとどうなるか。人によっては、目に装着したときに「ゴロゴロする」「違和感がある」と感じてしまうんです。

この硬さの指標は「弾性率(モジュラス)」っていう数値(単位: MPa)で示されます。この数値が大きいほど硬く小さいほど柔らかい

自分が今使ってるレンズのつけ心地に満足してるなら、そのレンズの弾性率を調べて、近い数値のものから試すのが失敗しないコツです。ただ、この弾性率ってやつはメーカーが公表してないことも多くて、判断が難しいのが厄介なところなんですけどね。

補足:含水率神話もついでに終わらせておく

ついでなので、もう一つの神話も終わらせておきましょう。「含水率」です。「含水率が高い=潤いが長持ちする」ってイメージ、ありますよね。

それも、もう過去の話です。

確かに、昔のコンタクト(HEMA素材)は、レンズが含む水分を介して酸素を届けてたんで、高含水じゃないとダメでした。

でも、さっき言った今の主流「シリコーンハイドロゲル(SiHy)」は、素材自体が酸素を通すんで、水に頼る必要がない。だから、アキュビューオアシス(38%)みたいに含水率が低くても、高い酸素透過率を実現できるわけです。

なので、「高含水=目に優しい、長時間うるおう」という神話は、今日で忘れてください。

まとめ:結局どんなコンタクトを選べばいいのか

色々言ってきましたが、まとめるとこうです。

  • 10年後、20年後の目の健康を守りたいなら → Dk/t値にこだわるべき。
  • つけ心地を重視するなら → Dk/t値だけでなく「弾性率(硬さ)」もチェックすべき。
  • 目の乾きが一番の悩みなら → 酸素透過率に期待せず、レンズの表面技術(デイリーズ トータル ワンみたいな)を調べるか、目薬などの併用を考えるべき。

結局、どのスペックを重視するかはあなた次第。この記事で得た正しい知識を武器に、自分だけのベストな一枚を見つけてください。

最後に一つだけ。

ぶっちゃけ、私も面倒で眼科なんてサボりがちですけども。コンタクトは「高度管理医療機器」です。レンズのスペックにこだわるのもいいですが、自分の目の健康資産を守る一番確実な方法は、定期的に眼科で検診を受けることです。スペックの高いレンズを選ぶより、よっぽど効果が高い投資だと思いますよ。

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